まずは上位を憎め

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 そう、自分にはネット上という空間は合っていない。ちゃんとした賞ならば、正当な評価が得られる。  インターネットで賞を調べ、勝谷の書いている作品に合う、ライトノベル系の公募に以前書いた作品を送った。  結果は、一次審査で落選。  確かに倍率は高かったが、それでも勝谷は酷く落ち込んだ。自分の作品はモバリスタ上ではかなり上のレベルにあると自負していた(ランキングに載るどころかランキングが表示されない有り様だが)。  しかし勝谷は失意の中でも作品を新たに書き上げ、また別の賞――やはりライトノベルである――に送った。中身はこの際気にしないことにして、執筆速度だけはある程度早かったから、勝谷は新作が出来る度に様々な賞――全てライトノベルである――に送った。  だがやはり、どの作品も一次選考を通らない。  そんなことを繰り返す内に、いつの間にか大学二年生の冬休み間近になっていた。  勝谷は大学のキャンパスの中を、友人達と連れ立って歩いていた。  意外なことにこの勝谷という男、実生活はそれなりに充実している。
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