第一章 出会い

2/7
87人が本棚に入れています
本棚に追加
/618ページ
「はあーっ!」    あまりにも見事な快晴だったので、私は両腕を突き上げ大空に向けて大きく背伸びをした。 私の名前は植咲綾芽(ウエサク アヤメ)。 今日から都立聖蹟高校の一年生だ。 幼い時に父を亡くし小学生の時に母も亡くなった私は、5年間施設で過ごし、今日から新しい生活がスタートする。 ベージュのブレザーに白のブラウス、水色と茶色のチェックのプリーツスカートと制服は完璧だ。 胸元には水色のリボンが揺れ、靴下は紺色。 聖蹟高校の制服は、都内でも人気NO.1のオシャレで可愛い制服だった。 「似合うかなぁ……」 駅の鏡で何度も自分の姿をチェックし、改札へと向かう。 学力の方はギリギリだったけど、昼間の高校に進学できるなんて今でも夢みたいな話だった。 聖蹟高校は、駅から歩いて15分ほどの丘陵地帯にある。 往路は、なだらかな上り坂が続くが、帰りは下りなので楽チンだ。 同じ制服の波が、同じ方向へと目指して歩いていく。 今日は入学式なので、一年生と一部の生徒しか登校していないはずだから、通常はこのざっと三倍の人数がこの一本道を通る事になる。
/618ページ

最初のコメントを投稿しよう!