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「はあーっ!」
あまりにも見事な快晴だったので、私は両腕を突き上げ大空に向けて大きく背伸びをした。
私の名前は植咲綾芽(ウエサク アヤメ)。
今日から都立聖蹟高校の一年生だ。
幼い時に父を亡くし小学生の時に母も亡くなった私は、5年間施設で過ごし、今日から新しい生活がスタートする。
ベージュのブレザーに白のブラウス、水色と茶色のチェックのプリーツスカートと制服は完璧だ。
胸元には水色のリボンが揺れ、靴下は紺色。
聖蹟高校の制服は、都内でも人気NO.1のオシャレで可愛い制服だった。
「似合うかなぁ……」
駅の鏡で何度も自分の姿をチェックし、改札へと向かう。
学力の方はギリギリだったけど、昼間の高校に進学できるなんて今でも夢みたいな話だった。
聖蹟高校は、駅から歩いて15分ほどの丘陵地帯にある。
往路は、なだらかな上り坂が続くが、帰りは下りなので楽チンだ。
同じ制服の波が、同じ方向へと目指して歩いていく。
今日は入学式なので、一年生と一部の生徒しか登校していないはずだから、通常はこのざっと三倍の人数がこの一本道を通る事になる。
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