第一章 出会い

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校舎は、中学校なんか比べ物にならないくらい広く、建物は新しくて綺麗だ。 これからの3年間、ここで勉強するのかと思うとワクワクする。 入学式が滞りなく終わり会場になった体育館を出ると、視界に淡いピンク色の花びらが横切った。 校舎の近くに植えられている桜の花が丁度満開で、柔らかい風に乗り映画のように桜吹雪が舞っている。 「綺麗……」 受験の前に一度学校見学に来たが、聖蹟高校の敷地面積は恐ろしく広く2時間では回りきれなかった。 南側には新棟と呼ばれる新校舎があり、北側には旧棟と呼ばれる旧校舎がある。 運動にも力を入れている学校なので、体育をする校庭の他に野球グラウンド、サッカーグラウンド、テニスコートなど、それぞれの施設も完備されていた。 旧校舎の後ろ側には雑木林が生い茂っており、緑が広がっている。 施設が充実しているだけでなく環境も良いのが学校のウリで、この少子化の時代に入学希望の生徒が殺到するのもうなずけた。 旧校舎と雑木林の間は、更に古い建物が建てられており、その並びにはプレハブが建っている。 古い二階建ての建物もプレハブも、部室になっているようだ。 建物の窓には部の名前が貼られていて、プレハブ小屋もそれぞれの扉に部の名前のプレートが下がっていた。
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