796人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
『女将さん…今日の夜、高杉って客がきたら、一番奥の部屋に通してもらってもいいかな?』
紗羅は大事な話しがあるからと付け加えた。
「わかったさかい。うちとしては、夜はあんまり出てほしくないさかい……」
女将は紗羅が心配でもしものことがあったら…などの被害妄想を考えてしまうのだ。
『本当、女将さんは心配性なんだから。クス。そんなところが大好きなんだけどね』
そう言って、紗羅は奥の部屋で高杉を待つことにした。
あ……黒家紋の手入れするの忘れてたな……
黒家紋とは紗羅の一族の家紋が入った黒一色の刀だ。
紗羅の一族には黒家紋と白家紋がある。これらを手にできるのは一族の後継者のみだ。
花街が最も活動する夜がやってきた。
そして、園屋(紗羅が働く店)の一番奥の部屋で高杉を待っていると、襖が開き男が入ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!