2章

2/8
796人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
『女将さん…今日の夜、高杉って客がきたら、一番奥の部屋に通してもらってもいいかな?』 紗羅は大事な話しがあるからと付け加えた。 「わかったさかい。うちとしては、夜はあんまり出てほしくないさかい……」 女将は紗羅が心配でもしものことがあったら…などの被害妄想を考えてしまうのだ。 『本当、女将さんは心配性なんだから。クス。そんなところが大好きなんだけどね』 そう言って、紗羅は奥の部屋で高杉を待つことにした。 あ……黒家紋の手入れするの忘れてたな…… 黒家紋とは紗羅の一族の家紋が入った黒一色の刀だ。 紗羅の一族には黒家紋と白家紋がある。これらを手にできるのは一族の後継者のみだ。 花街が最も活動する夜がやってきた。 そして、園屋(紗羅が働く店)の一番奥の部屋で高杉を待っていると、襖が開き男が入ってきた。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!