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ガラッ
『帰るの遅くなっちゃった』
紗羅が遊女たちに頭を下げた。
「風羅姉はん……うちらここ守れんかった…」
「雲衣姉はんは……うっ…くっう…うちらを守って…」
『雲衣はあんたらを、園屋を守りたかったんよ…みんな、自分を責めるんは間違いや…責める暇があったら……雲衣をちゃんとうめてやらな……』
紗羅は泣きながら遊女たちに指示をした。
「姐はん……これからどうしはりますん?」
『今日はとりあえずお店はお休みにする。
皆がそんなしけた面しとどうなりますんかぇ?
女将さんが帰って来たときに、あちきらがこんなんじゃ悲しはりますやろ?
やから…女将さんが帰ってこれるように、あちきらはいつもどうりに明るく笑顔でなければあきまえんよ?』
「そうや!わっちらがこんなやったら、女将さんが帰ってきたとき悲しむさかい!」
「うちらで力あわせて頑張らないけまへんよ!」
遊女たちは紗羅の言葉で元気がでたのか、協力しはじめた。
『早く帰ってきてくださいよ?女将さん』
紗羅は誰にも聞こえないようにボソッと呟いた。
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