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1章
―文久3年―
『また…ハズレ引いちゃった……』
ズルッ
狐の面をつけ袴姿の男は死んだであろう浪人を冷めた目で見下ろした。
つい先日会津藩から“新撰組”の名を頂いた屯所内ではあわただしかった。
それもそのはずだ。
「昨夜もまた現れたらしい。“人斬り風神”がな…」
土方は自分の頭を抱え眉間に皺を寄せながら言った。
今京内で騒がれている相手。“人斬り風神”。
男か女かも分からず、活動は昼や夜といった風で出る場所は不特定だ。狐の面をしてるらしくかなりの手練れ。
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