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「大佐ぁ、もう帰った方がいいんじゃないですか?」
「…そうだな。そろそろ帰るか」
たいさは僕を地面に降ろして立ち上がる。もう行っちゃうんだ……。
「ああ、それと中尉─」
「はい?」
突然、たいさがご主人さまに近付いた。
「今夜、君の家に行くから」
「~~ッ!?」
あれ?ご主人さま、顔が赤い。風邪でもひいたのかな?
「大佐あ、何イチャついてんですか!」
「何だハボック、嫉妬か?」
「アンタだけには言われたくない!」
買い物も済ませて家に帰ると、ご主人さまは家の掃除を始めた。
とても忙しそうだけど、何だか嬉しそう。
たいさが家に来るからかな?
僕も嬉しいよ。だってたいさは、いっぱい遊んでくれるから。
トントントン…。
掃除のあとは、何かを作り始めるご主人さま。何を作っているんだろう?
「こら、だめよハヤテ号」
「キューン?」
僕には食べられない物なのかなあ?何だろう、気になる…。
あれ?そう言えばこの匂い、前にも嗅いだことがあるな。
何だっけ?確か、甘い食べ物だったような気がするんだ。
たいさが来たら、分かるよね。
聞き覚えのある足音に、僕はむくりと起き上がった。気付いたら寝ていたみたい。
「ワンッ」
あれ、この足音は…たいさ?
インターホンが間隔を開けて二回押された。
「…どうぞ」
ご主人さまがドアを開けると、たいさが立っていた。
「……」
「どうなさいました?」
たいさはじっとご主人さまを見つめた後、にっこりと笑う。
「…いや、何でもないよ」
どうしたんだろう?
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