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何かが倒れるような音がした。
『先生ッ!ホークアイ先生!!』
その叫び声を聞いた瞬間、私は血の気が引いたのを感じた。
父に何かあったのだ。
『誰か…誰かいないか!早く医者を…』
私は震えながら二階に上がり、父の部屋に向かう。
半開きの扉から部屋の中を覗くと、倒れた父を支えるマスタングさんがいた。
『─リザ!』
父はそのまま、帰らぬ人となった。
「父の葬儀を終えた後、マスタングさんは話してくれました」
『いつかは路傍のゴミのように捨てられたとしても、皆を守ることが出来れば幸せだ』
青臭いと笑っても構わないよと言われて、首を振った。
『いいえ、素敵な夢だと思います』
「あの人が作る世界を、私は見てみたいと思いました」
「それを見るために、軍人になったのか」
本当はもうひとつ、父が遺した『焔の錬金術』がどういうものなのかを見たかったという理由もあった。
だけど、今はまだ話さない。
「実は俺も、ロイが言う「世界」を見たいんだ」
「そうですか、あなたも…」
この人も、あの人が作る世界を見たいのね。
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