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考えていても仕方ないので、先に昼食を済ませよう。
(大佐を捜すのはこの後ね)
食堂で昼食を食べていると、突然声をかけられる。
「ここ、良いかしら?」
「いいわよ」
声をかけてきたのはレベッカ。私の親友だ。
「…ねえ、どうしたの?」
「何が?」
食べながら話を続ける。
「今日は元気ないじゃない。
大佐と何かあったの?」
「どうしてそう思うの?」
「だって、今日は大佐と一緒に歩いている姿を見てないから」
そう言えば、今日は一度も大佐の後ろを歩いていない。
「大佐のことだから、いつもみたいにあんたを怒らせたのかと思ったんだけど…違うみたいね」
さすが、よく見ているわね。
「私も手伝おうか?この後、大佐を捜すんでしょ?」
「ありがとう、レベッカ」
食堂を出て、レベッカと並んで廊下を歩く。
「執務室と仮眠室には居なかったのね?じゃあ医務室とかは?」
「まだ行ってないわ」
「じゃあ私は医務室と、グラマン将軍のところを当たってみるわ」
「お願いね」
私は大佐が中庭や屋上など、大佐がサボる為に居そうな場所を見て回った。
途中ですれ違う人にも聞いてみるが、誰も行き先は知らない。
だんだん不安になってきた。
(こんなに探しても見つからないなんて…)
やはり、あの電話が原因なのだろう。
「リザ!」
顔を上げると、レベッカが駆け寄ってくる。
「レベッカ…そっちはどうだった?」
「将軍の所にも医務室にも来ていないって」
「こっちも収穫ゼロよ。これだけ捜してもいないなんて、変ね…」
ふと腕時計を見ると、午後の始業時間の15分前を指していた。
「手伝ってくれてありがとう、レベッカ」
「あ、うん。大佐見つけたら、連絡頂戴ね!」
約束よ、と言葉を交わして執務室に向かう。もしかしたら、もう戻っているかもしれない。
「大佐、いらっしゃいますか?
ホークアイです」
ノックをするが、返事がない。
静かに扉を開けると、ひんやりとした空気が漏れてきた。
まるでこの部屋だけが、別世界のように感じた。
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