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「どうするんだ?リザちゃん。
このまま黙っているわけにはいかないんだろ?」
「それはもちろんです。
…ところで大佐。誰に言われたのですか?」
「…ハクロ将軍だが、何をするつもりだ?」
「あなたと私が受けた屈辱を『倍返しにしてお返し』します」
笑顔で言う台詞ではないと思いつつ、銃を出してみる。
「…中尉、怒ってる?」
エドワード君がびくびくしながら、私を見上げる。
「あなたはアルフォンス君を馬鹿にされて、黙っていられる?」
「いや、後でぶん殴ると思う」
「二人とも。その後の処理は誰がするのかを考えてくれ」
頭を抱えた大佐は「良い部下じゃねぇか」とヒューズ中佐にフォローされる。
「ご安心下さい。銃をぶっ放すような真似は致しませんので」
するとエドワード君が突然口を開く。
「それにしても大佐って、ホントに部下想いだよな」
「…何だね、突然」
「あんたみたいな上官はあまりいないってことだよ」
いつもは無能だの何だのとバカにされている相手に褒められ、怪訝そうな表情を浮かべていた。
大佐の気持ちはよくわかる。
てっきり、何か裏があるのかと疑ってしまう。
「特に…中尉とかさ」
「はい?」
何故そこで自分の名前が出てくるのだろう。まるで、特別扱いされているようだ。
「何が言いたいんだね?」
「だからその、大事な人なんだろ?」
「エドワード君…?」
この少年は何が言いたいのだろう。
「もちろんだ。彼女も私の部下だからな」
「おいロイ、俺は放置かよ?」
置いてけぼりのヒューズ中佐が大佐の肩を叩く。
「お前は私に守ってもらわなくても…」
「何だよ冷てぇなあ。俺はお前の親友だってのに~」
…まるで子供のようだ。
「だが安心しろ、それも今の間だけだ。私が大総統になった時には、お前も全力で護ってやる」
中佐は不敵な笑みを浮かべる大佐の背中を叩いた。エドワード君も笑っている。
「そうそう。俺との約束も忘れんなよな」
「ああ、君に貸した小銭のことか」
「約束を果たしたら、また新しい約束を取り付けてやるよ」
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