ある日のお散歩

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みなさん、こんにちは! 僕はブラックハヤテ号と言います。 僕のご主人は『軍人』です。 すごいでしょう? 前に「みんなが笑顔でくらせるようにするのが私の仕事だ」と教えてくれました。 僕はそんなご主人を誇りに思っています。 いつでも僕が入ってこられるようにと開けてくれたドアの隙間から中に入った。 ベッドの上で熟睡しているご主人さまは、僕が入ってきたことにも気付かない。 すごく疲れていたんだろうな。 最近、帰りも遅かったし。 「クーン…」 僕はベッドからはみ出ている手の甲をなめた。 ねえ、お腹すいたよ。 「…ハヤテ号…?」 …あ、やっと起きた。 「ごめんなさいね、お腹空いたでしょう?」 枕元の時計を見て「まずいわ、もうこんな時間…」と呟いている。 「クーン?」 ねえ、どうしたの? 今日は「ひばん(非番)」なんでしょう? ご飯を食べた後、僕は散歩に行きたくなった。 外出するときはいつも首輪に結んでくれるリードを口でくわえる。 「ワン!」 「…散歩に行きたいの?」 僕はその場でぐるぐると回った。ご主人さまは「押しに弱い」って前に教わったんだ。 「たいさ」って人が教えてくれたんだよ。 「…もう、仕方ないわね」
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