失われる日常

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「…はっ!」 華紅夜は飛び起きた。 すると目の前は自分の部屋…。 「…夢か」 あれは夢かと肩の荷を下ろす。 またいつものように窓のカーテンを開けた。 快晴だ。 「華紅夜ー!」 また母の声が聞こえ、華紅夜は返事をして部屋から出ていった。 一*一*一*一*一 「変な夢?」 「うん…よく覚えてないけど…なんかに追っかけられてあたしが殺される夢」 学校で華紅夜はその夢の事を友達に話した。 「それで少し起きるの辛くてさ~」 「大丈夫?」 「うん…暑さで脳とかやばくなったかな~って感じ」 ガラガラ 「はい!席に着いて~!」 担任が現れると、またいつものように友達と別れて席に着く。 そしてある異変に気付いた。 (あれ、今日あいつの姿が無いな~) そう、昨日後ろで恋人がいない華紅夜を茶化していた男子生徒がいないからだ。 普段元気な彼だが、珍しく風邪でもひいたのか…。 そう思っていたが…。 「はい、それでは最初に皆さんに重要なお知らせがあります」 担任の声に緊張感がある事にいち早く華紅夜が気付いた。 「後ろの席にいる鉄心君が昨日の夜 血まみれになって倒れているという連絡が警察からありました」 「!!」 それを聞いた華紅夜が目を見開き、他の生徒も神夜以外ざわめき始めた。 「病院に運ばれた彼は緊急手術をしたそうです、ですが… 残念ながら、帰らぬ人となりました」 神夜以外の生徒全員が絶句した。 賑やかだった朝の風景が一変する。 「鉄心君は明るくて、元気で、皆を笑わせてくれて… とてもいい子でした こんな話をした私も……まさか彼が!…って感じで…信じられないくらいです」 担任も顔を下に向け今にも泣きそうな声で話す。 次に緊急全校集会がこの後にあると言った後。 「…ですので、皆さん、鉄心君の分まで生きて、必ず卒業しましょう!」 と先生が言った後、生徒達が少し頷く中 「……」 神夜の口許がにやりと上がった。 それを見逃さなかったのは一一。 (…) 華紅夜だけだった。
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