失われる日常

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緊急全校集会も終わり教室へ華紅夜が一人戻ろうとした時だった。 (あれは…) すると、目の前に壁に寄りイヤホンで音楽を聞いている神夜に出会った。 神夜は緊急全校集会も出ずに音楽を聴いていたのか一一。 華紅夜はその姿を見て怒りを覚えた。 「ちょっと!神夜君!」 「…」 イヤホンを無理やり剥すと神夜はこちらを向く。 「あなた、こんな大事な時に何やってるの!」 「何って…」 バシンッ!! 驚いて震える声にも動じず彼の頬を素手で叩いた。 「人が死んだんだよ! それなのに、あなたは口で笑うし!全校集会には出ない! なんなの!人として最低だよ!!」 「……ちっ」 神夜は少し苛立ちを感じたのか、舌打ちをした。 だが、それも華紅夜は見逃さない。 「あなたねぇ!!」 グサ!! 「……え」 何かが刺さった音が聞こえ、華紅夜は目を見開く。 下を見ると赤黒い血が滴り落ちる 自分のその腹部に刀が刺さっていた。 「…!!」 恐怖で声が出ない。 視界も歪みはじめる。 「……うるせぇなぁ 相変わらずお前はよ…」 刀が抜き取られると、華紅夜の体はゆっくり下に向いていった。 「神…や、く…ん… どう…し」 その後、神夜の口が三日月のように上がった。 「はーっハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」 その何処かで聞いたような笑い声を最後に華紅夜の意識は無くなった。
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