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泉に映っている俺は、紛れもなく“女”だ。
卵形の顔立ちに肩までの長さの水色の髪、オレンジ色の大きな瞳……。
黒のタンクトップから覗く胸には、くっきりとした谷間があり、紫のズボンの下にあるはずの膨らみが無い。
「いや、落ち着け、クロトシア・アムス……。泉に映った姿が真実とは限らないだろ」
そうだ、触ってみればわかる。
俺は“天女の涙杯”を地面に置き、両手で全身を触ってみた。
……。…………。
結果は同じだった。男には存在しないはずのものがあり、あるはずのものが無かった。
おまけに体全体が柔らかく、小柄な体系になっている。
「……最悪の一日だ。俺の人生で最悪の……夜」
俺は両手で“天女の涙杯”を包むようにして抱え込むと、その場に小さくうずくまったのだった……。
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