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床に転がって
呼吸が浅くなる
ああ アレがやって来る
ヒュッと喉がなって
薄くなった酸素にそれでも抗おうと呻く
―鬼がいた
物心ついた頃 ソイツは教室の隅で笑っていた
顔のない 痩せこけた身体
時々今でも思い出す
押し殺した感情が下腹にたまって渦を巻く
行き場を失った影は出口を見つけられずに
コンクリートでなく 目の前を黒く塗りつぶした
息が出来ない
酸素はのめない
何処へでもゆける携帯を握り締めて
だれかの声を待っている
発信番号はおされることなく
誰かの声を待っている
首にくい込む長い指
誰かの声を待っている
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