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「ただの刀の稽古だ」
「真剣で、ですか」
「そうだ」
「何故、とお訊きしてもよろしいでしょうか」
「もう訊いてるじゃねえか。
……なんの理由もねぇよ
ただ、そのほうがいいと思ったからだ。
緋真に奇襲させたのもそうだ」
「いくら戦場に行き慣れているからといっても、緋真様は女子ですよ。
傷を負わせたらどうするおつもりで」
「させねぇためにこうしてるんだろ」
「……………あのですね「あーっ!もー!うるさいうるさいっ!!」
「「……………」」
今の今まで、政宗と小十郎の間にずっといた緋真。
両側からのプレッシャーという名の圧力には耐えられなかったようです。
「あたしを挟んで問答するなっ!
小十郎!この稽古はあたしが頼んだの!
だから政宗ばっかり責めんなっ!」
「緋真様……」
「オイ、緋真……」
せっかく黙ってたのに…そう呟いた政宗は、緋真の手を引き、後ろから抱いた。
「つーわけだ、小十郎。
この件に関しては、もうなにも言うな。
別に毎日やるわけじゃないんだからいいだろ」
そう言うとまた歩き始め、緋真もそれに続く。
その2人の背を見ながら、小十郎は難しい顔をしていたが、やがて諦めたようにため息をつくと、2人の後を追って歩きだした。
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