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朝餉を終えた緋真は、ヤローどもの制止を無理矢理振り払い、一人で皿洗いをしていた。
緋真は自分にできることは何でもしたいタイプなので、昔から他人に何かをすべて任せるということがなく、伊達家に嫁入りしてからも、度々兵士の仕事を奪っている。
「今日の水、ものすんごい冷たいのに………緋真姐さん、顔色ひとつ変えねぇ……」
「つか、何でオレら、こんなコソコソと隠れるようにして見てるんスか?」
「バカ野郎。
万が一 皿とか割ってケガでもさせたら、筆頭が黙っちゃいないんだよ」
「………そうなんスか?」
「お前は新入りだからな。
昔からここにいるやつはみんな知ってることだ」
「へ~……」
………というような会話を見つからないように小声でしていた兵士2人だが、
「陸奥、芦原。
そんなとこで何してんの?」
気配に敏感な緋真は、とっくのとうに2人がいることに気が付いていた。
「ひ、緋真姐さん!」
「えっと…これは、その……」
見付かったことにあたふたする2人を見て、ため息をつく緋真。
「ったく……。
政宗もみんなも心配しすぎだよ。
あたしも子供じゃないんだからさぁ、いちいちこんなことしなくていいって言ってるでしょ?」
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