83人が本棚に入れています
本棚に追加
「そ、そんなことなど……。
万が一、緋真様に何かあった場合」
「小十郎」
必死で避けようとする小十郎の言葉を遮ると、緋真は、巫女装束の広袖から、幾十枚もの札を流れるようにして出す。
淡く発光した札が緋真の周りを守るように舞っている。
「本気で来いよ。小十郎」
そういう緋真の顔を見たとたん、小十郎は、ぞっとした。
先程とは違い、真剣な眼差しの彼女の目は、驚くほど主に似ていた。
戦場にて、強敵との戦いの際に見せる、あの鋭い瞳に。
それだけではない。
彼女から発せられる殺気そのものが、主君と同じ。
人は、これほどまでに他人と同じようにできるのかと思うほどだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!