83人が本棚に入れています
本棚に追加
ゆらり。
前に倒れるような動きを見たとたん、小十郎は反射的に刀を抜き、縦に構え峰の上辺りに右手を添える。
それとほぼ同時に――。
ギィン
金属音が響き、小十郎の腕に衝撃が走る。
緋真の手には、札から取り出したのであろう真っ白な刀がある。
『妖刀・白蓮』
妖のみを斬る刀。
つまり――――人間は斬れない。
(なぜそのような刀で………)
いくつもの斬撃をひたすら防ぎながら、小十郎は眉間に皺を寄せる。
その答えは、すぐに出た。
ひときわ大きな一撃の衝撃を利用して、一旦距離をおいた緋真は、刀を両手で握り水平に構える。
そして、ゆるりと腰を落とすと、上半身を軽く捻る。
そして、突きと同時に出されたのは――
青緑色の雷の塊だった。
.
最初のコメントを投稿しよう!