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「っ!!」
目前にまで迫り来る青緑雷に小十郎は、雷を纏った刀を逆袈裟に斬り上げる。
―――『鳴神』
地を揺らすほどの轟音が、響く。
爆風に押されるようにして、爆煙から飛び出した小十郎は、信じられないといった表情で煙の向こうにいる巫女を見つめた。
「緋真様……今のは………」
「………」
無言で、再び白蓮を構える緋真。
(………間違いない)
目の前にいる巫女が放った技は、戦場で何度も目にしたものだった。
(HELL DRAGON………!!)
「なぜあなたが……」
「前に教えたでしょ。小十郎」
油断なく構えたまま、緋真が呆れたように言う。
「この白蓮は、対妖用に造られた妖刀。
妖もあたしたちと同じように、属性がある。
相性のこともあるから、相手の属性に合わせていちいちこちらの武器を変えるなんてことをしていたら、時間がかかりすぎる。
だから――――
ひとつの武器に、全属性の能力を付与させた。
刀、弓矢、銃、薙刀、鉄扇の五つ。
それが、あたしが持つ退魔武器『翆江の五蓮』だって話したはずだよ」
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