伊達の姫・緋真

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「……で、こんな朝早くからどうしたの?」 毎朝行うこの儀礼に、普段は小十郎はおろか家の者は誰も部屋に近づかない。 その時間にも関わらず、来たということは急を要することなのだろうか。 「政宗様が、お呼びです」 「なにかあったの?」 「さあ……南の竹林で待っているとのことです」 「………わかった。 あんたも来るでしょ、小十郎」 そう言うなり返事も聞かずに緋真は小十郎に背を向け、白衣の帯をほどいた。 慌てて部屋を出ていく小十郎の気配を感じながら考えてみる。 (竹林で待ってるってことは、たぶん………) この先のことを思うと、自然と苦笑してしまう緋真であった。 .
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