【ある人喰い鬼のお話】

7/15
前へ
/32ページ
次へ
それから彼は少女から多くの事を学びました。 見た目こそ少女より年上でしたが中身は生まれたばかりの赤ん坊のように無知だったのです。 少女はそんな彼を訝しむ事なく、寧ろ嬉々として彼が理解するまで説明してくれました。 ある物ほとんどに彼は興味を示しましたが、一番興味を持ったのは少女の描いた絵でした。 無名ではありましたが少女の職業は画家だったのです。 しかし彼はどんな名画より少女の絵の方が綺麗だと思いました。 まあ褒める度に照れて笑む少女の方がもっと魅力的だと彼は思っていましたが。 『貴方は今まで見てきたどんな人よりも綺麗ね』 彼が絵のモデルになる時、少女は口癖のようにそう言います。 それを褒め言葉だと理解しているので彼は静かに笑って返します。 『当然デショ』と。 *
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加