【ある人喰い鬼のお話】

10/15
前へ
/32ページ
次へ
彼は早速少女に打ち明けました。 自分が人間ではなく人喰い鬼だということを。 そして手だけを鬼に変え、それが本当である事も示しました。 しかし返ってきた反応は彼が予想したものではありませんでした。 『ひっ…嫌、来ないで…!!』 絶望。 彼の中にはそれしかありませんでした。 自分を見る少女の目には恐怖しか宿していなかったからです。 すぐにその絶望は激しい怒りへと変わり、彼は意識を失いました。 そして再び意識が戻った時。 少女は苦悶の表情を浮かべたまま足元に転がっていました。 ―――血の海に。 ―――首だけの状態で。 *
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加