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今見えるあの赤い星を通過するのは後何日後だろう。
私は、私の死はどこに向かっているんだろう。 小指が痛い。
プシューッ、プスッ。 酸素の消費される音。
腐り往く私の肉片。
チューーッ、ジジジッ。 機械を動かす「ネズミ」の音。
「鼠」だなんて。
母がお城の外で喧しくしているのはおなかを減らした鼠達だというので私はテラスの上から鼠のためにリンゴを落としたわ。
不思議な事ね、今の私はその事を酷く後悔しているのに。
「パレード」はついには大きな暴動に変わり私たちの存在は否定され、
王が護り継いで来た国の名前だけが残った。
全てが焼き払われた後、私は処刑法の一つであったこのカプセルに押し込まれ宇宙へ飛ばされた。
私が聞いたのは、戦争の終わりに歓喜する民衆の歓声ではなく、
象徴の処刑とともに新しい時代を迎える事に対しての歓喜だった。
チューージジッ。
機械は何かにぶつかって破壊されない限り動き続けるから、
きっと私の体は腐った後もこの宇宙を永遠にさ迷う事になるでしょう。
数十年、もしくは数百年以上の間を。
超新星、粒子、ブラックホール……。
宇宙の果てには何が待っているのだろう。
風船のように宇宙は膨張しているという学者の説が正しいのなら
この宇宙もいつしか破裂して消えてしまうのでしょうか。
考えても考えても分からない。
私が中心で、私しかこの宇宙には存在しないのだから。
法律も宇宙も秩序も何もかも、拘束される理念も倫理も哲学さえ私は知らない。
だから願う。 願い、あの星から見上げる空を夢見る。
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