雲行き怪し

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─武田信玄─ 勘助達が出発して十分が経った。 あいつらの姿はもう見えなくなった。 もう大丈夫じゃな。 「佐助」 儂が名を呼ぶと、どこからともなく一人の忍者が現れる。 「お呼びで?お館様」 こやつは【猿飛佐助】。 真田の忍隊を率いておる。 一応は幸村の部下に当たるのだが、儂の命令もそつなくこなす優秀な奴じゃ。 「して、敵は今何処に?」 「もうじき現れるでしょうぜ」 佐助がそういった直後、100m程前方から三人迫ってくる。 おそらく敵じゃろう。 しかも相当の手練れじゃ。 儂が戦に出なかったのはこの為。 ここで奴らを倒す。 勘助はともかく、他の者ではとてもじゃないが勝てん。 だからといって勘助も残すと上杉に勝つのが厳しくなる。 結果、儂だけ残る事にした。 正確には佐助もおるから二人じゃな。 おっと、そうこうしておる内にすぐ近くまで来ておった。
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