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ー前田慶次ー
頬を撫でる風が気持ち良い。
地を蹴る蹄の音が、戦に向けて高ぶった心を落ち着かせる。
戦前のこの感じは好きだ。
あらゆるものが混ざり、独特の心地よさを生む。
しかし、ただ一つ気に食わない事がある。
それは、俺の前を誰かが駆ける事。
いつもは信玄公が指揮を執り俺に先陣を任せてくれるのだが、
今回は信玄公が不在。
全ての決定権は軍師である勘助さんにある。
勘助さんが先陣に選んだのは幸村。
誰よりも先に駆け、軍を導くのは幸村の方が適任らしい。
まあ、今回くらい良いか。
戦が始まったら一番多く戦功挙げれば良いだけだ。
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