春日山城

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―真田幸村― 私たちは今、春日山城へ向かっている。 お館様の友であり好敵手でもある上杉謙信率いる上杉軍の大半の戦略が集結している城。 兵や他の武将の方には春日山城を落とす目的で出陣するとお館様は言っていた。 が、真実は違う。 躑躅ヶ崎城に敵が迫っていた。 出陣前にお館様が私だけに内密に教えてくださった。 奴らの目的は儂じゃ。 余計な被害を出さぬ為にも儂は残る。 と。 無論、私は反対した。 危険が迫っていると分かっているのに主君を置いていく訳にはいかない。 そんな私の反論虚しく、お館様は命令だと言い半ば強制的に出陣させた。 だが、一つだけ疑問に思っている事がある。 何故わざわざ上杉に攻めさせたのか。 私たちの安全が目的なら近隣の城にでも行かせておけば良かったのに。 それだけが分からない。 今はもう信じるしかない。 お館様、どうかご無事でいてください。
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