神様

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「神様……」  拝啓、神様。僕の大切なものが終わりに向かっています。信仰心のない僕ですが、もしそれを失わずにすむのなら、僕はあなたに忠誠を誓い、あなたを崇め奉ります。  拝啓、神様。僕の大切なものが、どうしても最期を迎えそうです。毎日神様にお願いをしているのに、どうして僕の願いを聞き届けてくれないのでしょう。  前略……。神様? どうして何の行動もないのでしょう。僕の大切なものは、この地球上のちっぽけなものに違いないでしょうが、僕にとっては全てです。どうか僕の願いを聞いて下さい。  神様、僕の願いは叶わないのでしょうか。もし僕の願いを叶えて下さったら、僕の大切なもの以外全てを差し出します。  ねえ神様、そろそろ時が来たみたいです。横たわる僕の大切なものは、どうやら動かなくなるみたいです。  昨日、あれから僕の大切なものは最期を迎えました。ねえ神様、神様は一体どこにいるのでしょう。  神様。僕は今、高い所にいます。あなたに少しでも近づけるかと思いまして。それに大切なものにも近づくことができる気がして。  神様。少し時間が経ちましたが、相変わらず僕は高い所にいます。風が強いので、僕の気持ちが空まで届くことを願います。ええ、もちろんあなたには願っていません。  神様、これが最後のメッセージになります。僕は地上に戻ってから、心だけを風に乗せて、僕の大切なものに会いに行こうと思います。  では、今日でさようなら。
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