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青年の出現に山賊は騒めいた。
いや、青年の普通ではない雰囲気に押されていると言うべきか・・・・。
山賊は微かに青年と距離を置いた。
「何だ!お前、邪魔しようってのか!?」
リーダーらしい男は、青年の前に立ち、剣を前に出しながら叫ぶ。
青年は、すぐさま剣を振り下ろしリーダーらしい男の剣を圧し折った。
「・・・去れ・・・去らねば・・・私は、お前を・・・」
青年は逆に、リーダーらしい男に剣の先を向け、ゆっくり呟いた。
あまりに違う力を感じたのか、山賊は逃げるように荒野の奥へ消えた。
剣を鞘に納め、青年は振り向いた。
女性は恐怖から解放され、1つため息を吐く。
その様子を眺めながら、自分の行動を振り返る。
―‐普段、人から遠ざかっていた私が人を・・・助けた‐―
何が起きようと、決して関わらないように努めていた青年には、助けた行動そのものに驚き戸惑った。
女性を気にしたのか、山賊を見たからなのか・・・どちらにせよ考えるより先に体が動いたのは、今の記憶が始まってから初めての経験だった。
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