序章

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――――――― ――――― ――― 「ふぅ、やっと着いたな」 背面には森、なだらかな斜面を形作る崖の淵から眼前に広がる城下町を見下ろしつつ、旅人と思しき青年はため息混じりに呟く ボサボサのやや長めの黒髪におとなしそうな印象を受ける黒い双眼、知的な銀縁の眼鏡、ひょろっとした身体つき 風貌としてはとても1人旅などできそうもないように見えるが顔に疲労の色がうかがえないことから旅なれしていることがわかる そして着衣しているローブは長旅のせいなのか砂埃で汚れており、背中には数日分の食料に飲み水、その他もろもろの入ったバックを背負っていた 「王国最東端の村ロークティ……予言の通りなら……」 ふっ、と軽く笑みを浮かべ若干ずり落ちている眼鏡をクイッとあげ直した 「はてさて……ホントにいらっしゃるのかねぇ。世界を救う―――」 夜明けの太陽の日射しを背中に受けながら青年は言葉を紡ぐ 「―――勇者様は」 新たな一日が始まろうとしているその時、青年は期待を胸に首都へ向けてその一歩を踏み――― ガコッ 「んっ!? のわぁぁぁ!?」 ―――出すことは叶わず突然崩れた足下の地面と共に斜面を滑り落ちていった ――― ――――― ―――――――
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