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戻ってこないか?
ゴォォォォォォォ――
体育館には、誰れ一人いなかった。
雹(ひょう)混じりの嵐の所為で体育館の中は、ゴォーとすごい唸りを上げている。
時折、激しく雷も鳴った。
比呂美は、バッシュ(バスケットシューズ)に履き替え、用具室から持ち出したバスケットボールを突いていた。
「こりゃ、当分治まりそうにないぞ。母さんに迎いに来てもらうか?」
「悪いわ。もう少し居よう?」
比呂美は、少し眉をひそめお願いするように言った。
「あのさ、比呂美……」
眞一郎が話を切り出そうとした時、比呂美は、遠いサイドのゴールへドリブルしながら向かった。
シュートを成功させるとボールを拾い、今度は反対側、眞一郎が居る側のゴールへドリブルしてシュートを決める。
最初、ゆっくりとしたスピードだったが、段々とスピードが上がり、太ももが露(あらわ)になるほどスカートの裾が広がった。
そして、シュート後の着地の時には、下着が確実に晒された。
再び遠いサイドへドリブルする比呂美の背中に、眞一郎は堪りかねて声をかけた。
「比呂美ぃ、見えてるぞぉ」
「えー?」
比呂美、構わずシュートをすると、ボールを拾いこちら側にまたドリブルして来た。
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