5/6
前へ
/6ページ
次へ
柳ヶ瀬の女 4 柳ヶ瀬の商店街を歩いて行った。 両側には飲食店やスナックが並んでいた。 彼女や同じ職場の人と一緒に喫茶店に入った。 やがて犬山城の近くのホテルに着いた。 宴会は午後6時からだった。 宴会には各課から余興が予定されていた。 僕の課も一ヶ月前から、組合事務所の隣の会議室で、余興の練習をしていた。 ストーリーは簡単なもので、カップルが長良川の河原を散歩していると、二人組のチンピラが因縁をつけトラブルになる。 その時、正義の味方が現れ、そのチンピラをやっつけるというものだった。 最初、因縁をつけるチンピラの兄貴分を他の男性がやっていたが、迫力がなくどうにもピリッとしない。 「おい、どいて見ろ」 僕はそう言うと、自分がやって見せた。 僕にしても役者をするのは小学生以来だったが、拍手が起こった。 セリフも上手だったし、ドスも効いていた。 僕は自分の意外な一面を発見することとなった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加