33人が本棚に入れています
本棚に追加
「自分の体は自分が一番よくわかってる。」
桂は俺がそう言うと黙り込んでしまった。
「桂………三味線を持って来てくれねえか?」
「三味線だと?」
「頼む…。」
桂は、俺の目をジッと見た後ゆっくりと立ち上がった。
「わかった……持ってくるよ。」
桂がそう言って部屋を出た後、俺は布団から体を起こし襖を開けて外を見た。
雪が溶け始め地面には、少しだが小さな花が咲き始めている。
これから春が来て桜が咲く。
(せめて、今年の桜を見てから死にたかったな……。)
最初のコメントを投稿しよう!