第一章 足りない知識は想像でカバーだ

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慣れというのは恐ろしい、それを俺は身を持って実感している。 どんなことでも慣れてしまえばそこに違和感はなく、それが当たり前と化す。俺はそんな慣れに畏怖を抱きつつも受け入れる。日常を送るには慣れが必要不可欠だからだ。 「神奈、お風呂上がったわよ」 「わ、わかったわ」 思わず意気込んでしまう。 「相変わらず慣れないわけ?」 「これに慣れたら問題があると思うわよ」 俺は立ち上がり、着替えとタオルを手に風呂場へと向かう。 そして固まる。 「手伝おうか?」 「丁重にお断りよ」 脱衣場の戸をピシャリとしめて一人きりの空間を作る。人目に付くなんて恥ずかしすぎる。 「服着たまま体の汚れを落とす術があればなぁ」 無い物ねだりをしても仕方がない。俺は意を決して身に纏う衣類を脱ぎ捨てた。 胸の辺りにある双丘。 大きすぎず小さすぎず、丁度手に収まる程よい大きさ。形も恐らく悪くはない。変に垂れたりしていないから悪くはないのだと思う。正直分からない。 「はぁー……」 そこで俺は大きくため息をついた。 別に胸の大きさに不満があってため息をついたわけではない。どちらかと言えばこれくらいのサイズが好みだ。個人的に巨乳は好きじゃない。その人に合っているなら別だが、釣り合っていない場合は好きでない。あくまで二次元での話だがな。 俺のため息の理由、それは強烈な違和感と嘆きに対するものだ。 そう、もともと男の俺が女の体を操るのに違和感を覚えるのは当然だろう。
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