第一章 足りない知識は想像でカバーだ

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そう、俺は男だ。 風呂の湯に映る顔は女の顔だが、中身は男なんだ。 断じて女として生まれたが男として育てられたとかじゃない。 証明は出来ない。けど、この記憶に間違いはないと信じたい。 「あーいい湯だなー」 風呂に入ったらそんなことどうでもいいやとなってしまった。 考えても解らないなら保留にすればいい。 体は女、精神は男。その名も……その名も何だろう。変態? それか変体? どっちも響きが嫌だな。 じゃあこれはどうだろう。 「我は真。我は個。唯一無二の存在であり、真実を連ねる。我こそは、汝ら邪悪を討ち滅ぼす者なり!」 ……何だろう、この気持ち。 言ってる時はカッコいいと思ってるのに、後で思い返すと物凄い恥ずかしい。 てか勢いで言ったから言葉の意味がワケワカメ。 「……フッ。まだ私には邪気眼の開眼は早いようね」 あ、何かすでに邪気眼っぽい。こういうのって口に出すと途端に痛々しくなる不思議。 さて、そんなことよりさっさと髪とか洗って出よう。明日は早いから早めに寝ないとだしな。 とりあえず人里に行くって言ってたっけ。人里って言うくらいだから人の住んでる里なんだろうけど、そんなに遠い場所にあるのかな。神社ってそれなりに人の住む場所にあるんでないの? 後で聞くか。 明日の予定などを思い返しているうちに洗髪などは終わっていた。無意識って凄い。 あれ、予定は考えていたから意識はあったのか? いや、洗うという行為に意識を割いていないから無意識であっているのか。 相変わらずどうでもいい事を思考してんな、俺。
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