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「……先輩は、カリスマになれますよ。すげぇお洒落だし、センスいいし」
「はぁ? おだってたって何も出ないぞ」
「いや、マジで。毎日予約でいっぱいで、雑誌にもイケメン美容師、とか取り上げられちゃって」
「ははっ、いいな、それ。ま、来年になったら幸也は実験台だな。この髪、俺が切ってやるよ」
「……っ、はは、マジっすか、やった……」
不意に伸ばされた左手が、俺の前髪を撫でてそのままこめかみの辺りを悪戯に通りすぎてゆく。
滅多にない先輩からの接触は俺に不整脈を引き起こすのだけれど、このひとは本当に俺がこのひとを好きだってことを理解しているんだろうか。
無防備に触れてくる手を掴んだら意識してくれるだろうか。その指先を意味有りげに撫でたら? それとも薄い唇に触れたら? もっと直接的な愛情表現じゃなきゃ意味はないの?
ほぅ、と吐き出した息は体のなかを巡り巡って体温を掻き集めたみたいに熱かった。
(not)continue...
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初出20110707
再録20110718
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