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俺達の学校は生徒の自主性を重んじている為、生徒会が大きな権限を与えられている。
その生徒会からの連絡事項---各部長への部会の日時、行事予定など---を『生徒会通信』として、廊下に貼り出している。
因みに、その発行は不定期である。
「何なに…?…あ、『次回の生徒会選挙のお知らせ』だって!」
「…生徒会、選挙?」
「うん、来月にやるみたいだよ?副会長、ずっと決まってなかったもんね」
「ああ、そうだ…な…?」
彼女が読み上げた生徒会通信の内容に、俺も同意しようとして…、
「…?どうかしたの?」
「いや…何でも、ない。早く教室に行こう」
「あ…!ちょっと待ってよ!」
何だ。
何かが---引っ掛かる。
俺は、大切な何かを見落としているのでは---?
不安が唐突に、胸に去来する。
そんな不安を書き消してしまいたくて、俺は…無意識に駆け出していた。
---結局、不安の原因は分からないまま、俺は授業を受け続けた。
『貴方は、もうすぐ“失くす”かもしれない。---でも、』
“忘れないで”
何故か、あの時夾也に言われた言葉だけが---何時までもリフレインしていた。
***
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