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「わたしが、一緒にいてあげる。わたしの---“アリス”」
少女は腰に回していた手を俺の首に回し、その細腕からは想像もつかない力で、俺を強引に向き合わせて---
「----ッッ!!!?」
その紅い唇を…合わせた。
俺の、唇に。
驚愕に固まる俺を後目に、少女は唇を深く合わせてきた。
『---駄目!!このままじゃ“吸われる”!!』
ドンッ---!!
また、脳内に響いた声に導かれるように、俺は力付くで少女を引き離した。
「---あ、ぐっ…!ゲホッ、ゲホッ!!」
喉の奥が…いや、胸の奥が、焼け付くように---熱い。
胸を掻き抱きながら噎せる俺の前に、少女は音も無く近寄って来る。
「失礼ね…。わたしの“アリス”なら、そんな風に苦しんじゃ、駄目。もっと…」
アリス?
何を言っているんだ---?
少女はその薄い唇を、三日月形に歪めた。
「---可愛く、啼けるでしょう?」
“振り返るな!”
鳴り響く警鐘に対し、俺は反射的に---少女を仰ぎ見て…しまった。
「“アリス”…わたしの、可愛い」
「---“烈破”!!」
突如聞こえた叫び声。
と同時に、目の前の少女は、強烈な風圧に因って向かいの壁に叩きつけられた。
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