“ALICE”is found.

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*** あれから---どれだけの時間が経ったのだろうか。 俺が気付いた時には、既に家の前に立っていた。 「…自分で立てるかしら?」 「……えッッ!?あ、はい…」 再び身体が浮遊感に襲われた---と思ったら、俺の脚は地面に着いていた。 神原さんに、両肩を支えられて。 「あ…す、すみませ」 「ナオ---ッッ!!!!」 支えてくれた事に対し、お礼を言おうと口を開きかけた所で、自宅の扉が大きな音を発てて開かれた。 「姉さん…?」 「良かった…!無事だったのね…!」 扉を壊さんばかりの勢いで開き、此方に駆けて来た姉さんは、そのままの勢いで俺を抱き締めてくる。 「ちょ…っ、何」 「取り敢えず、中に入りましょ?」 「あ……!」 何やら泣き出してしまいそうな姉さんの様子に俺が困惑していると、神原さんが優しく諭すように声を掛けてくれた。 「やだ…ごめんなさい!まだ玄関だったわね…」 無理矢理笑顔を浮かべた姉さんは、空気を変えるようにサッと俺から離れた。 「まずは、家に入って?…“神原さん”も、ね?」 「…クスッ。じゃあ、お邪魔するわね」 二人に背を押され、取り敢えずは家に入る事にした俺は、玄関に足を踏み入れ---
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