“ALICE”is found.

11/12
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
---た、途端に。 「…あ、れ…?」 急激な睡魔に襲われ、それに逆らう事も出来ず、意識はホワイトアウトしていった---。 *** 「…眠ったの…?」 弟の身体を優しく抱き留めながら、蛍は呟く。 その表情は、酷く憔悴していた。 「…ああ。全部は“盗られ”なかったが…殆ど盗られちまったらしい」 蛍の漏らした呟きを拾った神原は、懐から煙草を取り出す。 1本口にくわえて、火を点けようとして--- 「…どうして!?今朝、ちゃんと私が“封じた”のに…!!」 眉根を寄せて睨み付けてきた蛍を見て、火を点けるのは諦め、煙草を懐に仕舞い直した。 「…こいつが、現場に落ちていた。恐らく…坊やが自分で“触れた”んだろう」 「触れたって…そんな、まさか…!?」 煙草を仕舞った手をそのままに、神原は再び懐から白い物体を取り出した。 「もう…力が抑えられないの…?」 彼の手に握られていたのは、“眼帯”だった。 今朝、蛍が弟に付けた物---。 「…だから言っただろう。動き出した物語を止める事は…“俺達”には、出来ない」 「……」 差し出された眼帯を見詰めていた蛍は、無言でそれを受け取る。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!