A missing PEARSON.

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それもたちまち静かになった 一同は話に引き摺り込まれ 夢の子の後を追ってさ迷う 見たこともない不可思議千万の国 鳥獣とも睦まじく言葉を交わし--- 半ばは本気で信じ込みながら やがて話は種切れになり 空想の泉も涸れ果てて 疲れた話し手は一息入れたく 「あとはこの次」と頼むのだけれど 「いまがこの次!」と 朗らかな声が口々に叫ぶ こうして「不思議の国」の物語は出来た こんなにゆっくり小槌でひとつひとつ おかしな事件を打ち出すようにして さあ お話はこれにておしまい 僕らの楽しいクルーは家路を目指す 落ちかかる夕日の下を “   !” この他愛ない話を受け取り その手でそっと仕舞っておいておくれ 思い出の神秘な絆の中に 子供の日の夢が綯い混ぜになった辺りに 巡礼達が遠い国で摘んできた とうに萎れてしまった花冠のように--- ***
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