彼女の願い。

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撫子ちゃんは満面の笑顔で、司の胸にダイブした。 「嬉しいです。撫子はずっと夢見てました、住川くんからのその言葉を」 司は、うぐっと真っ赤になって口ごもる。だから、わたしはわざとからかってみた。 「司、すごくかっこよかったよ?」 「うぜーぜ」 司は、胸にべったりと抱き着く撫子ちゃんを剥がして、慶吾さんに向かった。 慶吾さんは、司に殴られた痛々しい右頬で、それでもにっこり笑っていた。 「首藤さん、すみません。 その……古崎との事…… 」 もじもじしていた司の頭を、慶吾さんは荒く撫でた。 「それなら大丈夫。 元々 結婚なんて興味ないから。 親がうるさいからねえ。婚約の事も撫子の方から破談にしてくれると楽なんだよ」 慶吾さんは苦笑した。
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