至福の時。

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『どうした?体調でも悪いのか?』 吐息が漏れて弱々しい声に、真継君は心配してくれた。 だから、わたしは出来るだけいつも通りに振る舞った。 「ううん!全然だよ!元気、元気」 『ならいい。おやすみ、祈里。』 「おやすみなさい……」 もっと 声を聞いていたかった。 真継君は忙しい人だ、ワガママなんて言ってられない。 必死に自分に言い聞かせた。 風邪っぽくて 心が弱ってるからかな? 電話を切った途端、寂しい気持ちが溢れ出てきて 胸が疼いた。 頭がくらくらする。 震える足で居間に向かう。 畳まれて出されてあった布団に、身体を埋めるように倒れ そのまま眠りについた。 早く明日になればいいのに…。 ――そう願い掛けて。
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