至福の時。

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今更ながら。 真継君は、真面目すぎる。 「全部飲めたな、よし」 真継君が頭を撫でてくれた。 わたしは、怒る気もなくした。 「真継君てば、うつるよ?」 「…祈里からなら、本望だ。」 そんなに耳元で囁かれたら、余計に熱が上がっちゃう。 …たぶん、このまま溶けちゃう。 「最近は一緒に居られなくて悪い」 「う、ううん」 真継君は冷たい手のひらで、わたしの額を覆った。 それが冷たくて気持ち良い。 「ね…、わたしが眠るまで手、握ってて」 今なら、ワガママ言ってもいいよね? 「ああ」 真継君が寂しかった手を握ってくれた。 …冷たい。 ……幸せだなあ。  
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