至福の時。

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――3時過ぎ。 真継君が看病してくれたおかげか、風邪もかなり引いていて、寝汗を軽くシャワーでながしていた。 「祈里、りんご食べるか?」 着替えて居間に行くと、真継君がりんごを剥いてくれていた。 少し手慣れてなくて雑だけど、おいしそうだった。 「あ、さっき、篠山さんが持って来たやつ?」 「ああ」 篠山さんが昼過ぎに、お見舞いにりんごを買ってきてくれていた。 わたしは寝ていたからお礼も言い忘れちゃってたなあ。 後で電話しなきゃ。 すとん、と わたしは布団に座った。 真継君がすかさず わたしの髪をタオルで更に拭いてくれた。 「ちゃんと拭かないと風邪がぶり返す」 「う、うん」 優しくて、少しくすぐったい。 なんだか、わたしって司が言うみたいに手の掛かる子供みたい…。
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