至福の時。

12/16
前へ
/76ページ
次へ
「どんなセレブな家かと思ったけど、案外庶民的ね」 七美は言った。 「真継君のお父様が、普通の家庭を真継君に教えたいらしくて…」 おじさまも、桜子さんとの駆け落ち当初は狭いボロアパートに住んでいたらしい。 世間知らずな真継君に、普通の家庭という概念を教えたいのかな…。 「素敵です。これが兄さんたちの愛の巣なんですわね」 撫子ちゃんは感動していた。 「わたしも、住川くんとなら どんな部屋でも幸せだと思うわ」 遠回しなプロポーズみたいな言葉に、司は赤くなりながらぶっきらぼうに返す。 「こっちはゴメンだ」 撫子ちゃんはしょんぼりした。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1145人が本棚に入れています
本棚に追加