彼女の願い。

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理事長像前。 9時を過ぎて、たくさんの一般の客が流れ込んで来た。 暫く待つと、突然 声を掛けられた。 「やあやあ、祈里ちゃん」 ――慶吾さんだ。 確か、撫子ちゃんが誘ったんだっけ。 「おはようございます。えっと、慶吾さん一人ですか?」 「いや、黒江も一緒。あ、真継 さっき三階の美術室で会ったよ?」 美術室? なんでまた、そんなとこに。 「知り合いに会ったそうでさ、祈里ちゃんと会ったらそこにいると伝えてくれって頼まれたの」 慶吾さんはニッコリ笑ってた。 なんだか嫌な予感もしたけど、とりあえずわたしは美術室に向かった。 三階まで長い階段を上がって、そして廊下の奥の美術部が普段部室として使ってる美術室の前についた。 出口は一つ、外から施錠する式だったが錠前は外されてあったので容易に開いた。 薄暗い室内からは、油彩絵の具の独特のにおいがした。 窓辺にはキャンバスや木彫りなどが並べられてあった。 「…古崎?」 ガタンと音がして、顔をあげたら司がいた。
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