彼女の願い。

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だから、最近元気がなかったのかな? そうだよね。 …撫子ちゃんは司が好きで、いくら祖母の言い付けだろうと 好きな人以外の人と結婚なんて。 わたしだって嫌だ。 ちらりと司の方を見てみた。 司は、やっぱりビックリしていた。 立ちすくんでいる司に、真継君は語り掛けた。 「撫子は母の事をずっと引け目に思ってるようだ。だから、あまり自分から父にも祖母にも意見するような妹じゃない。 そんな妹が初めて積極的になれる君を見つけた。 …それは兄としても嬉しい事だ」 優しい笑顔だ。 司は、黙り込んだ。 しんと沈黙をするわたし達に、向こうから七美がやって来た。 「祈里、住川くん、何やってんの。クラスの方、そろそろ交代……」 司は、バッと顔を上げた。 七美は近づいて来た司にビックリしている。
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