彼女の願い。

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        * 中庭では3年生のクラスがオープンカフェをやっていた。 人も多かったけど、すぐに奥の席で撫子ちゃんと慶吾さんが二人で お茶をしているのが見えた。 近くまで近づいて、ちらりとわたしは慶吾さんと目があった。 けど、構わず慶吾さんは撫子ちゃんと話している。 「…司君は祈里ちゃんが好きなんだよ。無謀な片思いなんてさっさと諦めて 俺と幸せになろう?」 わたしたちに気付いていて、敢えて大袈裟な声色で言っているようだった。 でも、撫子ちゃんは気付かない。 「どうして…わたしは祈里ちゃんじゃないんでしょう? どうして住川くんの大好きな祈里ちゃんになれないのでしょう? 住川くんを幸せにさせられるのは、他の誰でもない――祈里ちゃんなのに…」 撫子ちゃんは沈んでいた。
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