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序章。
――朝の8時。
わたしは目を回しながら、台所で右往左往していた。
あの幸せ過ぎた結婚式から1ヶ月ちょっと。
9月に入り、既に二学期も始まっていた。
朝は朝食を作って、布団を畳んでゴミを出して、それに学校へ行く支度に忙しい。
「祈里、学校へなら車で私が連れて行ってもいいが…」
真継君が気を使ってくれた。
わたしは笑った。
「大丈夫。真継君、仕事は9時からだし。ゆっくりして行って?」
常盤坂 真継。
常盤坂グループの会長の一人息子で、同じ系列の会社をいくつか経営している実業家。
頭も良くて、仕事も出来て、真面目でクールで、それにかなりの美形。
……なんて、惚気なんだけど。
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